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zoom RSS 突っ込みどころ満載な富士山鉄道構想

<<   作成日時 : 2009/01/04 14:26   >>

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3日のmsn産経ニュースにこんな記事が出ていました。

富士山鉄道構想 麓から5合目まで

 山梨県側の富士山の麓(ふもと)から5合目まで、登山者や観光客を電気鉄道で輸送する一大構想が持ち上がっている。自然界への影響を懸念する声も聞かれるが、構想を打ち出した富士五湖観光連盟(山梨県)は「電気鉄道による悪影響は少ない」と自信をみせ、「首都圏から乗り換えなしの5合目直行便」の実現にも夢を膨らませている。
ほう、なかなか面白そうな構想ではありませんか。

と思ってよくよく記事を見てみると、ぱっと見える範囲だけでもいくつか突っ込みどころが。以下、引用囲みは同記事から。



車両技術的な問題


麓の有料道路ゲート付近に始発駅を設け、有料道路上に単線の線路を敷く。5合目ロータリーまでとすると全線約30キロ、平均勾(こう)配(ばい)5%。観光客が散策できるように途中に4駅を設置する。
勾配の5%=50パーミル。50パーミルは南海高野線の登山区間や神戸電鉄各線と同レベルなので、それ自体は荒唐無稽ではありません。しかし、両線の車両とも勾配区間に対応するそれなりの装備はあることに注意。

それよりも気になったのはカーブです。「有料道路上に単線の線路を敷く」となると、地図の場所を通ることになりますが、地図上普通の電車が通れるようなカーブには見えません。もっとも、その対策として鉄道にはスイッチバックという物がありますが、それだともう少し奥に突っ込まないといけませんし。あるいは箱根登山鉄道並みの小型車にするとか。

車両は電気動力で200人乗り車両を4両連結し、1便で800人程度を運ぶ。
当然車両にもよりますが、普通の電車の定員はおよそ150人。もちろん満員電車状態で良ければ200人を乗せることは不可能ではないですが、ここで言う「普通の電車」とはJRなどで走っている20m4ドアの通勤電車を想定してもらうことになります。当然これでは観光路線としては不向きですし、逆に「定員200人」を実現するためには相当の車両大型化が必要になるでしょう。

しかし、上で「車両の小型化も考えたら?」と言っていることに注意しなければなりません。



自然環境の問題


 堀内会長は「スイスでは100年も前から登山電車が走っている。マイカーと違い電気鉄道なら公害はなく、通年営業も可能。既存の有料道路を軌道に利用すれば新たな森林伐採が少なく、自然環境への負荷は減る」と有益性を強調する。
確かに排気ガスの問題は消滅、これは認めます。現に立山黒部アルペンルートでもディーゼルバスがトロリーバスに転換された例はありますし。しかし、
地元富士吉田市の堀内茂市長は「富士山では雪崩が発生し、安全面での問題がある。冬季に観光客が入ることで自然界のバランスが崩れるのではないか」と話す。
とあるように、冬の問題はつきまとってしまいます。特に、積雪・雪崩の問題は考えた方がいいでしょう。条件がいくらか異なるのは承知ですが、黒部峡谷鉄道は電気で動く鉄道であるにもかかわらず冬期は完全に運休です。



採算性(運賃)の問題


記事では特に触れられていませんが、運賃がいかほどになるのかは気になる所。現在の有料道路往復は普通自動車で2000円だそうですが、参考に現在のバスは片道1500円(往復割引2000円)、黒部峡谷鉄道(約20km)は片道1660円。今回の富士山鉄道も観光鉄道ということを考えると似たような水準になるのではないでしょうか。利用客の負担増は避けられないと思います。もっとも、コストアップで入山規制効果を狙うという考え方もあり。



将来構想の問題


さらに、一部からは「東京方面から5合目までの直行便を設けたら利便性が高まる」との意見もある。
実現したら確かに便利ですね。しかし、残念ながら車両面で難しいと考えざるを得ません。車両を小型化すると、性能面で付いてこられると仮定しても中央線の新宿に入らなければいけない、とんでもなく運転密度の高い路線です。先述の南海高野線も難波-極楽橋間直通電車、いわゆる「大運転」が諸事情で大幅に縮小されたのは記憶に新しい所。富士急区間の大月までならまだ直通の現実性は考えられますが…。



自然環境保護を謳ったり、入山規制効果を狙うなど、考え方の根本自体は悪くないです。しかし、構想の練り込みが不足。ちょっとこのプランだと個人的には実現性は薄いかなと考えてしまいます。これなら河口湖・富士急ハイランドあたりでバスに乗り換えてもらって五合目にはバスだけが入れるようにする、パーク&ライド付きマイカー規制の方が実現しやすく費用対効果も大きいのではないのでしょうか。現在も夏期2週間ほどマイカー規制があるそうですが、これを通年に拡大するわけです。

どの結論を出すにせよ、一番悪いのはいつまでも結論が出ず時間ばかりが過ぎて環境破壊が進むことです。実現させるにせよさせないにせよ、できるだけ早いご決断を。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
コメントを一件削除しました。
理由:URLが本人のサイトであるか疑わしいため。
ちなみに、コメント内容は「僕もこの構想は疑問ですね」でした。これも「返事しづらいコメント」に該当する恐れがありますので、今後ご注意を。
なかたん@管理者
2009/01/05 00:05
あ、ついでに。

記事内容に共感できて、かつ、コメントが一言の場合は、「ブログ気持玉」のほうがむしろありがたいです。おそらく6種類のどれかには該当すると思いますので。

逆に、反論の場合は論拠などを示していると一言になる方が難しいので、しっかりとした反論であればコメント歓迎します。

今後コメントポリシーを改訂しようかな…。
なかたん
2009/01/05 00:11
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

と言う事で、気持玉、入れさせていただきました^^

個人的には、これ以上富士を汚さぬためには、あんまり利便性を図るのはどうかと言う気がします。、

どうしてもと言うのなら、館長が仰るように、パーク&ライド方式がベストかなあっと思いますけどね。
クルトンパパ
2009/01/05 07:26
今年もよろしくお願いします!

>あんまり利便性を図るのはどうか
そうですね。入山規制も議論されるなか、アクセスの不便さもまた変な観光客よけになっているわけですからね。

>パーク&ライド方式
少なくとも渋滞はなくせる(バスで渋滞したら相当な輸送量)ので、工事の環境負荷を考えるとこれが落としどころですよね。なぜ道路を造る時点で登山鉄道にしなかったのか、というわけで。
なかたん
2009/01/05 08:45
地上駅ではなく、地下鉄みたいな方式にすれば複線も含めて大型電車が可能だと思います。地上には駅舎を建てれば、景観も壊さずに見晴らしが良くなると思います。
名無氏之助
2010/05/20 21:29
名無氏之助さん、コメントありがとうございます。

地下鉄方式なら、立山黒部アルペンルートの一部で実績ありますから、おもしろい方法ではありますね。

ところで、あれから続報を聞かないので、結局たち消えになってしまったのでしょうか?
なかたん
2010/05/20 22:15

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